テスト品質を上げる「運動」
※2017年のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST’17 Kyushu」にて登壇した際にお話しした「テスト品質を上げる生活」を文字起こししたものです。詳しくは↓
テストの品質を上げるために「運動」が必要ですか?えぇ、必要ですとも。むしろテストのために必要な「認知機能」を上げるためには、運動するしか方法はございません。
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脳はなんのためにある?
「脳」という器官は、なんのためにあるのでしょうか?それはズバリ「体を動かすため」です。「考えるため」にあるのではない、というお話。
体は非常に複雑な動きを必要とします。獲物を捕らえたり、危険から逃げたり。重力下で二足歩行したり、走ったり、手先の繊細な動きで道具を作ったり。その複雑な動きを制御するために、脳という器官が作られました。
考える、という働きは、あくまでもこの動作の内在化である。
運動しなければ脳は縮小する
人間は、エネルギー全体の約20%を脳が消費しています。脳の重量は全体の2%ほどであるにも関わらず。という具合に、脳はとてもエネルギーを消費する器官になります。
となると、もし動かないのなら、脳は必要ありません。必要ない器官に貴重なエネルギーを大量に送り込む必要はない。
その極端な例として、ホヤのお話。ホヤは動きを必要とする時期は脳を持っているけれど、定着して動きを必要としなくなると、脳を消化してしまいます。実に合理的。
ヒトの場合は消化とまではいかずとも、運動不足による脳細胞の減少、脳の萎縮の報告はたくさんございます。エネルギー利用効率的には、当然なのかもしれません。
脳を鍛えるには
では、逆に、脳を成長させるにはどうすればいいでしょうか。机に座って勉強しますか?それでは運動不足になって、逆に脳が退化してしまいます。
脳の成長に必要な物質に、DBNF(脳由来神経栄養因子)というものがあります。これは運動により短期的なストレスが脳に掛かることにより分泌されます。そう、脳を成長させたければ、運動をするしかないのです。
ちなみに体(筋肉、血管など)の成長因子も、運動により分泌されます。運動すると脳も体も成長する。脳は動きを制御する器官ですので、その動きを覚え、スムーズにするために、脳と体をアップデートするわけですね。
ちなみに、脳に良いストレスとは短期的なもの(クマに遭遇した、など)で、長期的な慢性的なストレスは、逆に脳の萎縮につながります。現代は慢性的なストレスにさらされることが多いので、ソフトウェアの品質を考えると、慢性的なストレスはなんとしても取り除きましょう。
脳の学習モード
ヒトにとって「学習」とはどのようなものでしょうか?おそらく、じっと座って本を読んだり、話を聞いたりすることを想像すると思います。もちろんそれも学習なのですが、それはわりと最近の「学習」であって、狩猟採集時代の学習とは、明日を生きるために獲物をどう捕らえるか、捕食者からどう逃げるかなど、「どう体を動かすか」でした。
つまり、脳を学習モードにするには、運動をすること。テストの前に、勉強をする前に、腕立て伏せなどいかがでしょうか。
まとめ
脳を成長させ、認知機能を上げるためには、運動するしかない。というお話でした。スライドには有酸素運動とありますが、無酸素運動でも大丈夫です。
トレイルランニングなど行えば、危機管理能力もあがり、システムの潜在的な危険性などを、第六感で気づけるようになるかもしれません。